「同じ注文が2人のアフィリエイターに成果として計上されている」「ASPの売上と自社アフィリの売上を足したら実売を超えた」──自社アフィリエイトを運用していると、必ずどこかで二重計上の問題にぶつかります。原因はほぼ3パターンに収束しており、それぞれに対する対処法は確立されています。
この記事では、二重計上が起きる3つのパターンと、ラストクリック原則・自社広告フラグ除外・ASP連携時のアトリビューション設計という3つの対策を整理します。ツール選定で見るべきポイントまで触れるので、これから自社アフィリエイトを始める方も、既に運用中で二重計上に困っている方も判断材料として使えます。
結論サマリー
- 二重計上の原因は 「複数アフィリエイター経由」「自社広告との併走」「ASPと自社アフィリの重複」 の3パターン
- 対策の柱は ラストクリック原則の徹底、自社広告フラグでの除外、ASP連携時のアトリビューション設計 の3つ
- 自社アフィリと ASP を併用する場合は、どちらを優先するかをルールとして明文化することが必須
- ツール選定では 同一注文の重複除外ロジック と 自社広告フラグの設定機能 の2点を必ず確認する
二重計上が起きるパターン

二重計上は計測の仕組み上、以下の3パターンのいずれかで発生します。
パターン①: 複数アフィリエイターのリンクを経由
ユーザーが購入までに複数のアフィリエイトリンクをクリックした場合、Cookie の上書き挙動やリンクパラメータの解釈次第で、両方のアフィリエイターに成果が付くケースがあります。
たとえば、ユーザーがブログAの紹介リンクをクリックし、後日インフルエンサーBのストーリーズリンクをクリックして購入した場合、設計次第で以下のような分岐が発生します。
- 正しい挙動: 後からクリックしたBが Cookie を上書きし、Bだけに成果が付く
- 不具合発生: AのCookieが消えずに残り、AとBの両方に成果が付く
この事象は、ASP系の計測が古い実装で残っているケース、または複数のアフィリエイトアプリを併用していて Cookie の管理が別れているケースで起きやすい問題です。
パターン②: 自社広告とアフィリの併走
Google広告・Facebook広告・LINE広告など、自社で出稿している有料広告経由のユーザーが、過去にアフィリエイトリンクをクリックしていた場合、Cookie が残っていれば購入時にアフィリエイト成果として計上されます。
ユーザー側からすると「広告を見てクリックして買った」のですが、ストア側では「アフィリエイトリンクから来た人が買った」と記録されます。自社広告費とアフィリエイト報酬の二重支払いが発生するもっとも典型的なパターンです。
パターン③: ASPと自社アフィリの重複
A8.net や もしもアフィリエイトなどのASPと、UpPromote / AffiliSaaS / Affitch などの自社アフィリエイトアプリを併用している場合、両方の計測タグが同じ注文を拾ってしまうケースがあります。
- ASPメディア経由のクリック → Cookieが ASP の計測サーバーで管理
- その後、自社アフィリエイターのリンクを踏んで購入 → 自社アプリの Cookie も発火
結果として、ASPと自社アフィリ両方で成果が立ち、同じ注文に対して2社へ報酬を支払う事態になります。
対策①: ラストクリック原則の徹底

3パターンのうち、もっとも基本的な対策は 「最後にクリックされたアフィリエイトリンクのみを成果対象とする」ラストクリック原則 の徹底です。
具体的にやることは2点です。
- Cookieの上書きを許可する設定を選ぶ(アプリの管理画面で「最新クリックを優先」を選択)
- アフィリエイトCookieは購入完了時に1つだけ参照するロジックを徹底(複数Cookieが残っていても最新タイムスタンプのものを使う)
UpPromote / Affitch / AffiliSaaS はいずれも標準でラストクリック方式を採用していますが、設定で「最初のクリックを優先」「分配モデル」を選べるアプリもあります。EC物販ではラストクリック以外を選ぶメリットは薄いので、原則として変更しないのが安全です。
詳しい挙動の話は → アフィリエイトのクッキー期間と帰属の仕組み で扱っています。
対策②: 自社広告フラグでの除外
自社広告との二重支払いを防ぐには、広告経由のトラフィックを判別するフラグをストア側で持ち、アフィリエイト成果から除外するのが定石です。
実装の典型例は以下です。
- 自社広告のリンクに UTM パラメータ(
utm_source=google_adsなど)を必ず付与 - ストアの計測ロジックで「
utm_sourceに自社広告の値が入っていれば、アフィリエイトCookieを発火させない」処理を追加 - またはチェックアウト完了時に「
utm_source=google_adsを含む注文はアフィリエイト成果から除外」する後処理
AffiliSaaS は、こうした 「特定の流入経路をアフィリエイト成果から除外するフィルタ機能」 を標準で備えています。UpPromote / Affitch でも実装可能ですが、設定の自由度に差があるため、自社広告との併走前提なら確認しておくべきポイントです。
対策③: ASP連携時のアトリビューション設計
ASPと自社アフィリエイトを併用する場合は、「どちらが優先するか」を運用ルールとして明確化することが必須です。よく使われるルールは以下の2つです。
- 自社アフィリ優先ルール: 同一注文で両方の計測が発火した場合、自社アフィリ側のみを成果として認め、ASP側にはキャンセル通知
- ASP優先ルール: ASP経由が確認できた場合、自社アフィリ側の成果を取り消す
EC物販ではアフィリエイター個別管理ができる 自社アフィリ優先 を選ぶケースが多めです。理由は、ASPは月間最低保証料金がかかる固定費型、自社アフィリは成果報酬型でユニットエコノミクスが読みやすいためです。
実装上は、ASP側の管理画面で「重複時はキャンセル」のフラグを立てる + 自社アフィリ側で「ASP併用時の優先ロジック」を設定する、という二段構えになります。ASP側の対応はASPごとに異なるため、契約前に重複時の処理方法を必ず確認してください。
ASP連携の全体像は → ShopifyとA8/もしも/バリューコマース連携の現状 でも扱っています。
ツール選定で見るべき機能

二重計上対策の観点で、自社アフィリエイトアプリを選ぶ際に確認すべき機能は以下の3点です。
| 確認ポイント | 何を見るか | 重要度 |
|---|---|---|
| 同一注文の重複除外ロジック | 1注文に対して必ず1アフィリエイターのみ成果計上される設計か | ★★★ |
| 自社広告フラグでの除外 | UTM や流入経路で広告経由を判別、アフィリエイト成果から除外できるか | ★★★ |
| ASP併用時の優先ルール設定 | 「ASP優先」「自社アフィリ優先」を選択可能か | ★★ |
| 重複検知の通知機能 | 二重計上候補を運用者に通知するアラートがあるか | ★★ |
| アフィリエイター単位の例外設定 | 特定アフィリエイターのみ別ロジック適用できるか | ★ |
無料プランから使えるアプリでも上3つは備えていることが多いですが、ASP併用時の優先ルール設定 は有料プラン以上で提供されるケースがあります。ASP連携を前提に運用する場合は、契約前に該当機能の提供状況を確認しておくのが安全です。
不正検知の観点(自演・ボット・クッキースタッフィング)からのアプリ選定軸については アフィリエイト不正検知の仕組みと対策(執筆中)で別途扱う予定です。設定済みの自社アフィリで成果が出ないトラブルの整理は → Shopifyアフィリエイトが計測されない時のチェックリスト もあわせて参考にしてください。
まとめ
- 二重計上は「複数アフィリエイター経由」「自社広告併走」「ASP重複」の3パターンに収束する
- 基本対策は ラストクリック原則の徹底(Cookie の最新上書き設定)
- 自社広告との二重支払いは UTM等の流入フラグでアフィリ成果から除外で防ぐ
- ASP併用時は 「どちらを優先するか」を運用ルールとして明文化 することが必須
- ツール選定では 同一注文の重複除外ロジック と 自社広告フラグ機能 の2点を必ず確認する
二重計上の問題は計測の仕組み上、運用初期に必ず一度はぶつかります。「起きてから対処」より「起きない設計」を最初から組む方が、報酬支払いの正当性検証コストを大幅に下げられます。


