Amazonで商品を売るとき、販売価格から仕入値を引いただけの金額は利益ではありません。販売手数料、FBAの配送代行手数料や在庫保管手数料、大口出品の月額料金などが差し引かれ、手元に残る金額は想像より少なくなりがちです。仕入れや価格設定のたびにこれらを手計算するのは手間がかかるため、手数料を自動で差し引いて利益を出してくれる利益計算ツールが使われます。

この記事では、無料で使えるAmazon公式の「FBA料金シミュレーター」とセラースプライトの「利益計算機」、仕入れ判断から販売後の利益集計まで扱うプライスター・マカド!を、料金・計算のタイミング・使えるデバイスで比較します。 結論から言うと、1商品ずつ損益を確かめるなら無料ツールで足ります。仕入れ先でスマホから即判断したい、売れた後の利益を月単位で集計したい、という段階になったら有料ツールを検討するのが無駄のない順番です。副業〜小規模でAmazon出品をしている方と、自社商品の採算を管理する出品担当者を想定読者にしています。

結論サマリー

  • 1商品の損益確認は無料の公式ツールで足りる: Amazon公式の「FBA料金シミュレーター」は、FBAと自社配送の収益性を比べられます。手数料の出どころがAmazon自身なので、計算の基準線になります
  • 拡張機能で手早く見たいならセラースプライトの利益計算機: 無料プランで使える機能として公式に掲載されています
  • 仕入れと利益集計まで回すなら国内の有料ツール: プライスター(月額5,280円・税込)とマカド!(月額4,980円・税込)は、仕入れ時の利益確認から、売れた後の利益集計までを1つのツールで扱えます
  • 販売手数料は税抜表示: Amazonの料金表では販売手数料だけが税抜で、実際には消費税が上乗せされます。手計算やスプレッドシートで見落としやすい差です
  • Helium10のFBA計算機は日本のAmazonに非対応: 公式の無料FBA計算機で選べるマーケットに日本(amazon.co.jp)はありません

Amazonの利益計算で差し引く費用

利益計算ツールがやっていることは、販売価格からAmazonに払う手数料と自分で払うコストを差し引くことです。ツールを選ぶ前に、何が差し引かれるのかを押さえておくと、ツールごとの計算の違いも見えやすくなります。

費用内容公式記載の例(2026年9月30日時点)
販売手数料売れるたびにかかる。売上の合計に対する料率か最低額の高いほう多くの場合5%〜15.4%。税抜表示で、別途消費税がかかる
FBA配送代行手数料FBAを使う場合、ピッキング・梱包・配送・返品対応などの費用小型(25×18×2.0cm以下・250g以下)で1点288円、価格1,000円以下の商品は222円(税込)
FBA在庫保管手数料FBA倉庫に在庫を置いている間の費用商品の体積と保管日数で日割り計算。時期により単価が変わる
出品プランの料金大口出品は月額固定、小口出品は1点ごと大口出品は月額4,900円(税抜)、小口出品は1点100円
仕入値・送料など自分で払うコスト仕入値、FBA倉庫への納品送料、自社配送の送料、資材費など

Amazonの出品サービス公式サイトの早見表には、食品&飲料のコーヒー(売上の合計1,090円)の例として、販売手数料92円、FBA配送料358円、FBA保管手数料1日0.1円が載っています。同じページで「販売手数料のみが税抜きで計算され、その他のすべての手数料には適用される税金が含まれます」と説明されているため、販売手数料には消費税を足して考えます。

  • 売上の合計: 1,090円
  • 販売手数料: 92円+消費税10%=約101円
  • FBA配送料: 358円
  • 手数料を引いた残り: 約631円(ここから仕入値・納品送料・保管手数料・月額料金を引いたものが利益)

1,090円で売れても、仕入値に回せるのは631円程度です。仕入値が500円なら、残りは約131円になり、納品送料や保管期間によってはさらに減ります。この計算を商品ごと・仕入れのたびに正確に行うのが、利益計算ツールの役割です。

なお、Amazonの料金ページには「2026年フルフィルメント by Amazonの改定概要」の案内も掲載されています。FBAの手数料は改定されることがあるため、ツールの計算結果とAmazonの最新の料金表がずれていないか、改定のタイミングで確認してください。

利益計算ツールの比較表

主な利益計算ツールを、料金・無料枠・計算のタイミング・使えるデバイスで比べました。いずれも2026年9月30日時点の各社公式サイト・ヘルプの記載で、公式に書かれていない項目は「記載なし」としています。順位付けはしていません。

ツール料金(公式記載)無料枠・無料期間主な計算のタイミングデバイス
Amazon公式「FBA料金シミュレーター」料金の記載なし(セラーセントラルのツール)—出品・仕入れ前の1商品ごとの試算Web
セラースプライト「利益計算機」無料プランで利用可(有料はスタンダード月13,998円〜・税表記なし)無料プランあり商品リサーチ中の試算Web・Chrome拡張
プライスター月額5,280円(税込)1ヶ月仕入れ時の目安確認と、販売後の売上・粗利の分析Web・Chrome拡張・スマホアプリ
マカド!月額4,980円(税込)登録月と翌月仕入れ時の手取り表示と、販売後の純利益の自動集計Web・スマホアプリ

※ プライスターとマカド!は価格改定・出品・FBA納品などを含む月額料金で、利益計算だけの料金ではありません。価格改定機能の比較はAmazon価格改定(価格追従)ツール比較 — 無料の公式機能とプライスター・マカド!の違いで扱っています。

無料の2つは「この商品を売ったらいくら残るか」を試算する道具で、有料の2つは試算に加えて「実際に売れた分の利益がいくらだったか」を集計する道具です。どちらが必要かで選ぶツールが変わります。

利益計算ツールの選び方 — 3つの場面

1. 出品・仕入れ前に1商品ずつ試算する 新しい商品を出品する前や、FBAと自社配送のどちらが得かを比べたいときは、Amazon公式のFBA料金シミュレーターが基準になります。手数料の計算元がAmazon自身なので、ほかのツールの結果を確かめるときにも使えます。

2. 仕入れ先でスマホから即判断する 店舗仕入れなどで、その場で「この値段で仕入れて利益が出るか」を判断したいなら、スマホアプリで商品を検索・スキャンして手取りを確認できるツールが向きます。マカド!は商品リサーチでKeepaの販売傾向・最安値・手取りを表示すると案内しています。価格推移の見方そのものはKeepaの使い方ガイド — 価格推移グラフの見方と実務での活用法で解説しています。

3. 売れた後の利益を月単位で把握する 「今月いくら儲かったか」「どの商品が利益を出しているか」を知るには、実際の注文データから利益を集計する機能が必要です。プライスターとマカド!は、売上・粗利などを画面で確認でき、経費の入力にも対応しています。

スマートフォンのカメラで段ボール箱に貼られた荷物のバーコードを読み取っている手元

Amazon公式「FBA料金シミュレーター」 — 無料で使える計算の基準線

セラーセントラルに用意されている、Amazon公式の収益シミュレーターです。出品サービスの料金ページから案内されています。

機能概要: 商品の詳細と配送費用を入力すると、配送方法ごとのコストを比べられます。公式の説明では、自社の配送コストを入力して自社配送とFBAの収益性を比較でき、料金は在庫保管手数料と配送代行手数料に基づいて計算されます。

料金: ツールの料金についての記載はありません。出品プラン(大口出品は月額4,900円・税抜、小口出品は1点100円)は別にかかります。

メリット: Amazon自身が提供するツールなので、FBA手数料の計算が最新の料金表に沿っています。FBAを使うか自社配送にするかを決める前の比較に向いています。

デメリット: 1商品ずつの試算が中心で、仕入値を記録して売れた後の利益を集計するような機能はありません。スマホで仕入れ先から素早く確認する用途には向きません。

向いている人: これからFBAを使うか検討している人、新しい商品の採算を出品前に確かめたい人。有料ツールの計算結果が合っているかを確かめる基準としても使えます。

セラースプライト「利益計算機」 — リサーチと同じ画面で試算

セラースプライトは、Amazonの商品・キーワードリサーチ用のツールです。料金ページの「無料で使える機能」に、販売数予測などと並んで「利益計算機」が掲載されています。

機能概要: 商品リサーチのツール群の1つとして、利益の試算ができます。計算に含まれる費用項目の内訳は、料金ページには記載がありません。

料金: 利益計算機は無料プランで利用できる機能として掲載されています。有料プランはスタンダードが月13,998円からです(公式ページに税込・税抜の表記はありません)。

メリット: 無料で使え、市場規模や販売数の推定などリサーチ機能と同じツールの中で試算できます。すでにリサーチでセラースプライトを使っている人は、ツールを増やさずに済みます。

デメリット: 販売後の利益を集計する機能ではありません。無料プランでどこまで使えるかの全体像はセラースプライト無料版でどこまで使える?制限を実測で検証 — 有料化判断の目安までで整理しています。

向いている人: 商品リサーチの段階で、候補商品の採算をざっくり確かめたい人。

プライスター — 仕入れ目安と売上分析を1つに

公式サイト上の表記は「Pricestar」(ドメインは pricetar.com)。価格改定を中心に、仕入れリサーチから出品・FBA納品・売上管理までをまとめたツールです。

機能概要: Chrome拡張機能では「仕入れ目安」で利益が出るかどうかを確認できます。販売後は、売上分析画面で売上や粗利益などを確認できます。人件費や交通費などの「その他経費」を月ごとに計上して利益計算をする機能もあります。

料金: 月額5,280円(税込)。1ヶ月の無料期間があります。

メリット: 仕入れ時の目安確認(拡張機能)と、販売後の売上・粗利の分析が同じツールでつながります。商品原価以外の経費も入れて月の利益を見られます。

デメリット: 今回比較したツールの中では月額が最も高めです。価格改定・出品・納品まで含めた一式のツールなので、利益計算だけを使いたい人には機能が余ります。

向いている人: 仕入れから販売まで1つのツールで回したい、せどり・転売型のセラー。

マカド! — 仕入れ時の手取り表示と純利益の自動集計

価格改定・出品・販売管理・商品リサーチ・FBA納品をワンプランで提供するツールです。

機能概要: 販売管理では、仕入・手数料・送料・ポイントを差し引いた純利益を自動で集計し、月別の売上・粗利・ROI・粗利率を表示します。商品ごとの仕入や経費はあとから修正でき、月別・年別のCSVをダウンロードできます。商品リサーチでは、Keepaの販売傾向・最安値と手取りをその場で確認でき、カメラ検索にも対応しています。

料金: 月額4,980円(税込)の1プランで、全機能込みと案内されています。登録月と翌月は無料です。

メリット: 差し引く項目にポイントまで含めた純利益を自動で集計する点が、公式に具体的に書かれています。CSVで月別・年別に出せるため、確定申告の準備にも使えます。

デメリット: 価格改定などを含むワンプランのため、利益集計だけが必要な人には割高に感じる可能性があります。

向いている人: 仕入れの判断から販売後の利益・ROIの把握までを、手頃な月額でまとめたい個人〜小規模のセラー。

白い壁の部屋の床に、大小さまざまな段ボール箱が積み重なっている様子

Helium10の計算機は日本のAmazonでは使えない

海外製のAmazon分析ツールHelium10にも、無料のFBA計算機(FBA Calculator)があります。ただし、公式ページで選べるマーケットは米国・カナダ・メキシコ・ドイツ・スペイン・イタリア・フランス・英国・インド・オランダで、日本(amazon.co.jp)は含まれていません。日本のAmazonで販売している場合は、ここまでのツールを使うのが確実です。

Helium10の利益管理機能「Profits」の使い方はHelium10 Profitsの使い方 — ASIN別粗利と広告費控除後利益を可視化するで解説しています。利用する前に、自分が販売しているマーケットに対応しているかを確認してください。

利益計算で見落としやすい5つのポイント

販売手数料の消費税 Amazonの料金表では、販売手数料だけが税抜で表示されています。スプレッドシートで自作する場合、料率をそのまま掛けると消費税分だけ利益を多く見積もることになります。

FBA在庫保管手数料と保管期間 保管手数料は1日あたりの金額が小さく見えますが、商品の体積と保管日数で積み上がります。売れるまでに時間がかかる商品ほど差が大きくなるため、回転の遅い商品は保管期間も含めて試算してください。

納品送料・資材費 FBA倉庫への納品送料や梱包資材は、Amazonの手数料には含まれません。1回の納品にかかった送料を商品数で割って、1点あたりのコストとして加えます。

ポイント 商品にAmazonポイントを付けている場合、その分は利益から差し引かれます。マカド!のように、ポイントを差し引く項目として明記しているツールもあります。

手数料の改定 FBAの手数料や販売手数料は改定されることがあります。ツールに設定した手数料や、自作の計算表の数字が古くなっていないか、Amazonからの改定案内が出たら確認してください。

メーカー・ブランドは価格崩れの監視もセットで

ここまでの利益計算は、自分で決めた販売価格で売れることを前提にしています。自社ブランドの商品を販売しているメーカーやブランドオーナーの場合、第三者の相乗り出品者が安値で出品すると、カートを取るために自社も値下げせざるを得なくなり、試算した利益がそのまま崩れてしまいます。

出品前の試算が合っているのに実際の利益が合わないときは、誰が、いつから、いくらで出品しているかを把握する監視が先に必要です。監視の方法とツールはAmazon 相乗り検知ツール比較 — 自動化度・通知速度・多モール対応で選ぶ3製品で比較しています。売上そのものが急に落ちている場合は、Amazonの売上が急に下がった原因は?6つの要因と切り分け診断フローから原因を切り分けてください。

詳細を見る →

まとめ — 試算は無料ツール、集計まで回すなら有料ツール

  • 1商品の試算はAmazon公式のFBA料金シミュレーター: FBAと自社配送の収益性を無料で比べられ、計算の基準線になります
  • リサーチ中の試算ならセラースプライトの利益計算機: 無料プランで使える機能として掲載されています
  • 仕入れ目安と売上分析をつなげるならプライスター: Chrome拡張での仕入れ目安の確認と、売上・粗利の分析、その他経費の計上ができます(月額5,280円・税込)
  • 純利益の自動集計を手頃にまとめるならマカド!: 仕入・手数料・送料・ポイントを差し引いた純利益とROIを自動集計します(月額4,980円・税込)
  • Helium10のFBA計算機は日本非対応: 日本のAmazonでは上記のツールを使うのが確実です

どのツールを使う場合でも、販売手数料の消費税・保管期間・納品送料・ポイントを含めて計算しているかが、利益の見込み違いを防ぐ分かれ目です。有料ツールはいずれも無料期間があるため、自分の商品で計算結果を公式のシミュレーターと突き合わせてから本契約に進むのが確実です。

よくある質問

Amazonの利益計算は無料でできますか?

できます。Amazon公式の「FBA料金シミュレーター」は、セラーセントラルで自社配送とFBAの収益性を比較できるツールで、ツール自体の料金の記載はありません。セラースプライトの「利益計算機」も無料プランで使える機能として掲載されています。

販売手数料に消費税はかかりますか?

かかります。Amazonの料金ページでは、販売手数料のみが税抜きで計算され、その他の手数料には税金が含まれると説明されています。販売手数料を料率どおりに計算した場合は、消費税10%を上乗せして考えてください。

FBAと自社配送、どちらが利益が出ますか?

商品のサイズ・重量・販売価格・保管期間と、自社配送の場合の送料や作業の手間によって変わります。Amazon公式のFBA料金シミュレーターは、自社の配送コストを入力してFBAと自社配送の収益性を比較できるため、商品ごとに試算して決めるのが確実です。

Keepaで利益計算はできますか?

Keepaは、価格やランキングの推移を記録して見るためのツールです。仕入れ判断では、Keepaで売れ行きや価格の動きを確かめ、利益の試算はFBA料金シミュレーターや利益計算ツールで行う、という使い分けが一般的です。マカド!のように、商品リサーチ画面でKeepaの販売傾向と手取りを並べて表示するツールもあります。

スプレッドシートで自作するのと、ツールを使うのとではどちらが良いですか?

扱う商品が少なく、手数料の更新を自分で追えるならスプレッドシートでも管理できます。ただし、販売手数料の消費税や保管手数料の日割り、手数料改定への追従を手作業で維持する必要があります。商品数が増えて更新の手間が負担になったら、注文データから自動で利益を集計するツールを検討するタイミングです。