入力フォームの途中で離れた人に、あとからSMSやメールで「お手続きが完了していません」と知らせる。フォーム離脱リカバリーツールは、仕組みだけ見るとどれも同じに見えます。ところが、誰を検知できるか・自社のフォームに入るか・費用がどう増えるかは、ツールによって大きく違います。選び方を誤ると、導入したのに対象者がほとんどいない、売上が伸びるほど手数料が膨らむ、といったことが起こります。

この記事では、フォーム離脱リカバリーツールを選ぶときに確認すべき6つのポイントを、比較サイトの多くが触れていない「配信を止める条件」「SMSを送るときの同意の取り方」まで含めて解説します。 あわせて、カートシステムの標準機能で足りるためツールが要らないケースと、タイプ別の向き不向きも整理します。LP一体型フォームやECサイトの離脱対策を検討しているマーケ担当の方を想定しています。

結論サマリー

  • 最初に見るのは「誰を検知できるか」: カートの標準機能は、購入手続き画面まで進んだ人やログイン中の会員が対象です。LP一体型フォームで入力の途中に離れた人まで拾うには、送信前の入力内容を読み取るタイプのツールが必要です
  • カートの標準機能で足りるならツールは要りません: Shopifyはチェックアウトでメールアドレスを入力した人に、標準で離脱メールを自動送信できます。ecforceにも月額1万円(税別)のカゴ落ちメール機能があります
  • 料金体系で費用の増え方が変わる: 成果報酬型は呼び戻せた件数に比例して、定額+従量型は配信した通数に応じて費用が増えます。呼び戻しの件数が多いほど、差が開きます
  • 配信を止める条件を必ず確認する: 購入や申し込みを済ませた人に「お手続きが完了していません」と届く事故は、完了をどう検知するかで防げるかが決まります
  • SMSは特定電子メール法の対象になりうる: 総務省は、SMSも同法の「電子メール」の通信方式の一つとしています。フォームでの同意の取り方と文面は、導入前に決めておきます

フォーム離脱リカバリーツールとは?カゴ落ちメールとの違い

フォーム離脱リカバリーツールは、入力フォームの途中で離れた人に、その人が入力済みの電話番号やメールアドレスあてにSMS・メールを送り、フォームへ戻ってもらうためのツールです。入力中の離脱を防ぐEFOツールとは効くタイミングが違い、離脱した後に働きます(違いはEFOツールとフォーム離脱リカバリーの違いで解説しています)。

似た仕組みに、カートシステムの「カゴ落ちメール」があります。どちらも離脱した人に連絡する点は同じですが、誰を対象にできるかが違います。

カートのカゴ落ちメールフォーム離脱リカバリーツール
主な対象会員(ログイン中)や、購入手続き画面まで進んで連絡先を入力した人フォームの途中で連絡先を入力し、送信せずに離れた人
連絡先の取り方会員情報、購入手続き画面で入力された内容送信前のフォームの入力内容
主なチャネルメールSMS・メール(ツールによる)
向いているサイトカート型のECサイトLP一体型フォームの単品通販、申し込みフォーム

単品通販のLP一体型フォームでは、訪れる人の多くが初めての購入者で、会員情報がありません。また、商品を選ぶ画面と入力フォームが同じページにあるため、カート型のように「購入手続き画面まで進んだ」という段階を踏まずに離れる人がいます。カゴ落ちメールでは届かない人がいるのは、この違いが理由です。

選ぶ前に確認:ツールが要らないケース

リカバリーツールを比べる前に、今の環境で足りていないかを確認します。次のどれかに当てはまるなら、新しいツールは不要か、後回しで構いません。

カートの標準機能で対象者をカバーできている

主要なカートシステムには、離脱した人にメールやSMSを送る機能が標準またはオプションで用意されています。

カート機能対象になる人費用
Shopify放棄されたチェックアウトの自動メールチェックアウトでメールアドレスを入力してから10分以上、購入を完了していない人標準機能
ecforceカゴ落ちメール機能(確認画面離脱のメール、LPフォームの入力画面離脱のSMS)メール:確認画面まで進んだ人(SHOPの会員はカートに商品を追加した時点から)。SMS:LPフォームで電話番号を入力した後に離れた、ログインしていない人オプション 月額1万円(税別・リリース時の案内)。SMSはTwilioの利用設定とSMS会員認証オプションが別途必要

※ Shopify ヘルプセンター、ecforce 公式リリース・サポートサイトの記載より(2026年9月17日確認)

Shopifyの場合、チェックアウトでメールアドレスの代わりに電話番号の入力を認めていて、お客様が電話番号を選んだときは、このメールは送れません。ecforceでLP一体型フォームを使っているなら、入力途中で電話番号を入力して離れた人へのSMSを、カートのオプションで送れるかを先に確認してください。カート型のECサイトで、離脱の大半が購入手続き画面に進んだ後に起きていて、メールでの連絡で十分なら、まず標準機能を設定して様子を見るのが最も早くて安上がりです。

離脱の多くが、連絡先を入力する前に起きている

リカバリーツールが連絡できるのは、電話番号かメールアドレスを入力し終えた人だけです。フォームを開いてすぐ離れる人や、連絡先の項目にたどり着く前に離れる人が大半なら、ツールを入れても対象者がほとんどいません。この場合は、入力の手間を減らすEFOツールや、離れる直前に引き止める離脱防止ポップアップの方が先です。

項目ごとの離脱の計測方法は、入力フォームの離脱率の平均と計測方法で解説しています。

連絡先まで入力して離れる人が、月に数十人に満たない

リカバリーツールは、呼び戻した人数に比例して効果が出ます。連絡先まで入力して離れる人が少なければ、月額費用や初期設定の手間に見合いません。まずフォームの項目の並びを変えて、氏名と連絡先を前半に置くと、ツールを入れたときに連絡できる人数が増えます。

フォーム離脱リカバリーツールの選び方:6つの確認ポイント

付箋とメモに確認項目を書き出しながらノートパソコンで検討している手元

ツールの資料や問い合わせで、次の6点を確認します。上から順に、合わなければその時点で候補から外せる項目です。

1. 離脱をどう検知するか

最初に確認するのは、どの時点の、誰の離脱を検知できるかです。大きく分けて次の3通りがあります。

  • 送信前の入力内容を読み取る: フォームにタグを設置し、電話番号やメールアドレスが入力された時点で記録します。送信されないまま一定時間が経つと「離脱」とみなします。LP一体型フォームや、会員登録のない申し込みフォームで使えるのはこの方式です
  • カートの購入手続きのデータを使う: カートシステムと連携し、購入手続き画面で入力された連絡先を使います。購入手続き画面まで進んでいない人は対象外です
  • 会員やLINEの友だちの情報を使う: ログイン中の会員や、LINEでID連携した人が対象です。初めての購入者はほとんど対象になりません

「何分入力が止まったら離脱とみなすか」も確認します。短すぎると、まだ入力している人や、別のタブで商品を見比べている人に送ってしまいます。自社で調整できるかを聞いておきましょう。

2. 自社のフォームに設置できるか

送信前の入力内容を読み取るタイプは、フォームのあるページにタグを設置できることが前提です。次の3つを確認します。

  • LP一体型フォームのカートシステムに対応しているか: 対応カートとして名前が挙がっているか、タグを設置した実績があるか
  • 購入手続き画面にタグを貼れるか: カートによっては、購入手続き画面に任意のタグを設置できません。Shopifyは購入手続き画面のHTMLを自由に編集できなくなっており、既存のフォームにタグを貼るタイプのツールは入りません(詳しくはEFOツールおすすめ8選の「ECサイトの購入手続き画面に入れる前の注意」で解説しています)
  • フォームが外部サービスや別ドメインにないか: フォーム作成サービスのフォームを埋め込んでいる場合、入力内容を読み取れないことがあります

3. SMS・メール・LINEのどれで送れるか

チャネルごとに、届く相手と費用が違います。

チャネル届く相手費用の目安向いている使い方
SMS電話番号を入力した人1通ごとに課金。全角70文字を超えると複数通分として課金されるのが一般的短い文面ですぐ気づいてもらう
メールメールアドレスを入力した人1通あたりは安い長い説明や画像を載せる。他のメールに埋もれやすい
LINELINEでID連携・友だち追加した人配信通数に応じたLINE側の料金会員や既存顧客への連絡

単品通販の申し込みフォームは電話番号が必須のことが多く、SMSで届く人の割合が高くなります。電話番号を入力した人にはSMS、メールアドレスだけの人にはメール、と両方を使い分けられるかを確認しておくと、取りこぼしが減ります。

4. 料金体系:成果報酬型か、定額+従量型か

フォーム離脱リカバリーツールの料金体系は、主に2つです。

  • 成果報酬型: 初期費用・月額費用が0円で、呼び戻せた件数(配信後の購入や申し込み)に応じて1件ごとに課金されます。フォーム離脱に特化した国内のツールでよく見られる料金体系です
  • 定額+従量型: 月額の基本料金に一定の配信通数が含まれ、それを超えた分を通数に応じて支払います

どちらが安いかは、呼び戻せる件数で決まります。成果報酬型は、呼び戻しが増えるほど費用が売上に比例して増えます。定額+従量型の費用は配信した通数で決まり、呼び戻せた件数には左右されません。

たとえば1件あたり2,500円の成果報酬型(モデルケース)なら、月に20件呼び戻すと5万円、60件なら15万円です。同じ配信数のまま呼び戻しの件数が増えても、定額+従量型の費用は変わりません。 導入初期は件数が読めないので成果報酬型が始めやすく、件数が安定して多いなら定額+従量型が有利になる、というのが基本的な見方です。

成果報酬型を検討するときは、何を「成果」として数えるかを必ず確認します。配信後、何日以内の購入を数えるのか、配信を開封していない人の購入も含むのか、によって請求額が変わります。配信がなくても自分で戻ってきて購入した人が含まれていれば、その分も課金の対象になります。

5. 配信を止める条件を設定できるか

比較サイトではあまり触れられていませんが、導入後のトラブルが最も起きやすいのがここです。購入や申し込みを済ませた人に「お手続きが完了していません」と届いてしまうと、問い合わせやクレームにつながります。

確認するのは次の3点です。

  • 完了をどう検知するか: サンクスページ(完了画面)にタグを設置する方式か、カートのAPIやWebhookで購入データを受け取る方式か。LP一体型フォームで、確認画面や完了画面がカート側の別のページにある場合に、完了を正しく検知できるか
  • 配信停止の受け付け: 受け取った人が配信を止められる導線が文面に入るか、停止した人に以後送らない仕組みがあるか
  • 同じ人への重複配信: 何度もフォームを開いた人に、その都度送られないか

6. 同意の取り方と、効果の測り方

SMSやメールを送る前提の整理も、ツール選びとあわせて決めておきます。総務省は、電話番号でメッセージを送受信するサービス(SMSなど)も特定電子メール法の「電子メール」の通信方式の一つとしており、広告・宣伝を送る場合は原則として同法の規制対象になるとしています。

入力途中の人へのお知らせが広告・宣伝にあたるかは、文面や送り方によって扱いが変わりえます。フォームやプライバシーポリシーでどう伝えるか、文面に何を書くかは、ツールが用意しているテンプレートを確認したうえで、必要に応じて専門家に相談してください。

効果の測り方は、導入前に次の2つを決めておきます。

  • 何を成果として数えるか: ツールの管理画面の「回収件数」と、自社のカートやGoogleアナリティクス4の数字をどう突き合わせるか
  • 比べる基準: 導入前の同じ期間の、フォームの送信数や購入件数。ツールの管理画面の数字には、配信がなくても戻ってきた人が含まれることがあるため、自社側の数字でも確認します

タイプ別:自社に合うのはどれか

6つのポイントを踏まえると、呼び戻しの手段は次の4タイプに分けられます。

タイプ連絡できる人チャネル料金の傾向向いているケース
カートの標準機能・オプション購入手続き画面まで進んだ人、会員(カートによってはLPフォームの入力途中の人)主にメール(ecforceはLPフォームの入力途中の離脱にSMSも可)標準機能、または月額のオプションカート型ECで、購入手続き画面での離脱が中心
メール配信・MAツールのカゴ落ち配信カートと連携して取得した顧客メール(SMSに対応するものもある)月額(配信数や顧客数に応じて変動)既存顧客へのメールマーケティングとまとめて運用したい
LINE連携型LINEでID連携・友だち追加した人LINE月額+LINE側の配信料金LINEの友だちが多く、既存顧客のリピートが中心
フォーム離脱に特化したツールフォームの途中で連絡先を入力した人(非会員を含む)SMS・メール成果報酬型、または定額+従量型LP一体型フォームの単品通販、会員登録のない申し込みフォーム

カート型ECで既存顧客が多いなら上の3タイプ、初めての購入者が多いLP一体型フォームならフォーム離脱に特化したツール、というのが大まかな分け方です。両方の性質を持つサイトでは、カートの標準機能で購入手続き画面の離脱をカバーし、その手前で離れた人を特化型ツールで拾う、という組み合わせもできます。

ノートパソコンの前でスマートフォンを操作している手元

フォーム離脱に特化したツールを選ぶなら

フォーム離脱に特化したツールの中で、料金体系を軸に選ぶなら、成果報酬型が一般的な中で定額+従量型を採るツールが候補になります。

国産ツールでは、たとえば OKAERI が、フォームの途中で離脱した人に SMS とメールで再訪を促す仕組みを提供しています。送信前の入力内容を読み取るタグ型で、LP一体型フォームの単品通販に対応しています。料金は成果報酬型ではなく定額+配信数に応じた従量課金のため、呼び戻しの件数が増えても手数料が売上に比例して膨らみません。初期費用は0円で、配信枠が月ごとではなく総量で決まっている無料プランがあり、有料プランは月額9,800円(税別)からです。

一方で、LINE での配信には対応しておらず、カートのAPI・Webhookとの連携は月額49,800円(税別)以上のプランに限られます。月額9,800円のプランでは1人に送れるのは3通まで、無料プランは1通のみです。購入の完了をカート側のデータで確実に検知したい場合は、どのプランが必要かを先に確認してください。

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よくある質問(FAQ)

フォーム離脱リカバリーツールとカゴ落ちメールは何が違いますか?

連絡できる相手が違います。カートのカゴ落ちメールは、会員や購入手続き画面まで進んで連絡先を入力した人が主な対象です。フォーム離脱リカバリーツールは、送信前のフォームに入力された電話番号やメールアドレスを使うため、会員登録のない初めての購入者や、LP一体型フォームの途中で離れた人にも連絡できます。

フォーム離脱リカバリーツールの料金相場はどのくらいですか?

料金体系によって違います。フォーム離脱に特化した国内のツールは、初期費用・月額0円で呼び戻せた件数に応じて課金する成果報酬型が多く見られます。定額+従量型のツールは、月額の基本料金に一定の配信通数が含まれ、超えた分を通数に応じて支払います。呼び戻しの件数が多いほど、定額+従量型の方が費用を抑えやすくなります。

Shopifyにフォーム離脱リカバリーツールは必要ですか?

購入手続き画面での離脱が中心で、メールでの連絡で足りるなら、標準の「放棄されたチェックアウト」の自動メールで対応できます。対象はチェックアウトでメールアドレスを入力した人で、電話番号を選んで入力した人にはメールを送れません。SMSで送りたい場合や、購入手続き画面の手前のフォームで離れた人に連絡したい場合は、別の手段が必要です。

SMSで離脱した人に連絡しても法律上問題ありませんか?

送る内容と同意の取り方によります。総務省は、SMSも特定電子メール法の「電子メール」の通信方式の一つとしており、広告・宣伝を送る場合は原則として同法の規制対象になるとしています。フォームやプライバシーポリシーでの伝え方と文面は、導入前に整理し、必要に応じて専門家に確認してください。

購入した人にお知らせが届いてしまうことはありませんか?

ツールが購入や申し込みの完了を検知できていないと起こります。完了画面にタグを設置する方式か、カートのAPIやWebhookで購入データを受け取る方式かを確認し、LP一体型フォームで完了画面がカート側の別のページにある場合も検知できるかを、導入前に確かめてください。

まとめ

フォーム離脱リカバリーツールは、誰の離脱を検知できるかで使える場面が決まります。カート型ECで購入手続き画面での離脱が中心なら、Shopifyやecforceのカゴ落ちメールなど、カートの標準機能から始めるのが最も早い方法です。LP一体型フォームで、初めての購入者が入力の途中で離れているなら、送信前の入力内容を読み取るタイプのツールが必要になります。

ツールを比べるときは、フォーム離脱リカバリーツールの選び方として挙げた6点、検知の方法・自社フォームへの設置・チャネル・料金体系・配信を止める条件・同意と効果の測り方を順に確認してください。特に料金体系は、呼び戻しの件数が増えたときに費用がどう増えるかで比べると、長く使ったときの差が見えます。

フォーム離脱対策の全体像はフォーム離脱の対策まとめで、防ぐ・引き止める・呼び戻すの3段階に分けてまとめています。