カゴ落ちメールを設定しようとして、件名と本文で手が止まる方は少なくありません。カートの標準テンプレートは「お買い忘れはありませんか?」の1通だけ、ということが多く、2通目・3通目に何を書けばよいか、クーポンを付けるべきかまでは教えてくれないためです。
この記事では、カゴ落ちメールの例文を、件名と本文のテンプレートで紹介します。 1通目はリマインド、2通目は送料・返品・支払い方法の不安を解消する案内、3通目は期限や在庫の告知と、通数ごとに役割を分けて書き分けました。クーポンを付ける場合と付けない場合、送るタイミングと通数の考え方、やってはいけないこと、SMSで送る場合の短文例までまとめています。例文はすべてこのメディアで作成したもので、店名や商品名は「〇〇ショップ」などの伏せ字にしています。カゴ落ちメールの文面を作る、または見直すEC担当の方を想定しています。
結論サマリー
- カゴ落ちメールは3通で役割を分ける: 1通目は「手続きが途中で止まっている」ことを知らせるリマインド、2通目は送料・返品・支払い方法など迷いの原因を解消する案内、3通目は期限や在庫を事実どおりに伝える告知です
- 件名は「誰から・何の件か」が一目で分かるように: 店名と、カートに残っている商品やお手続きのことだと分かる言葉を前半に置きます。注文確定と誤解させる件名や、根拠のない煽りは逆効果です
- クーポンは最初から付けない: 1通目から割引を出すと、「待てば安くなる」と覚えられやすくなります。付けるなら3通目に、条件と期限を明記して付けます
- 送るのは「購入していない人」だけ: 購入や申し込みを済ませた人に届かないよう、配信を止める条件を必ず確認します。1人あたりの通数にも上限を決めておきます
- 配信の前提を先に確認する: 広告・宣伝にあたるメールには、特定電子メール法・特定商取引法が事前の同意や表示を求めています。カゴ落ちメールがどう扱われるかは文面や送り方で変わりうるため、一次情報で確認し、迷う場合は専門家に相談してください
- SMSは70文字に収まる短文で: 全角70文字を超えると多くの携帯電話会社あてで2通分になります。SMSでは要件とURLだけを伝え、詳しい説明はメールやページに任せます
カゴ落ちメールとは:注文確認メールとの違い
カゴ落ちメールとは、ECサイトでカートに商品を入れた、または購入手続きの途中まで進んだのに、購入を完了せずに離れた人へ送るメールです。「カート放棄メール」「かご落ちメール」と呼ばれることもあります。カートシステムの多くは、購入手続きで入力されたメールアドレスを使って自動で送る機能を持っています。
注文確認メールや発送通知との違いは、相手がまだ何も買っていないことです。受け取った人にとっては、頼んでいないのに届くメールでもあります。そのため、文面には次の2つが求められます。
- なぜこのメールが届いたのかが分かる: 「〇〇ショップでのお手続きが完了していないため、お知らせしています」と、送った理由を書く
- 押し付けにならない: 「購入してください」ではなく、「続きはこちらから」「ご不明点はこちら」と、戻る道と相談の窓口を示す
なお、カゴ落ちの連絡はメールだけでなくSMSでも送れます。どちらを使うかは、フォームで入力される連絡先と、1通あたりの費用で決まります。チャネルの選び方はカゴ落ちメールとSMSの違いで比べています。この記事では、メールの文面に絞って解説します。
カゴ落ちメールを送るタイミングと通数の考え方
例文の前に、何通を、いつ送るかを決めておきます。通数ごとに書く内容が変わるためです。この記事では、次の3通構成を基本の型として紹介します。
| 通数 | 送るタイミングの目安 | 役割 | 読み手の状態 |
|---|---|---|---|
| 1通目 | 離脱から1〜数時間後 | リマインド型:手続きが途中で止まっていることを知らせる | 買うつもりだったが、中断した・忘れている |
| 2通目 | 翌日 | 不安解消型:送料・返品・支払い方法などを案内する | 何かが引っかかって迷っている |
| 3通目 | 2〜3日後 | 期限・在庫の告知型:特典の期限や在庫の状況を事実どおりに伝える | 比較検討中、または後回しにしている |
※ タイミングは一般的な組み立ての例です。商材の検討期間や、カートで設定できる範囲に合わせて調整してください
タイミングはカートで設定できる範囲から決める
カートの標準機能では、送信までの時間や通数を自由に決められないことがあります。たとえばShopifyでは、チェックアウトでメールアドレスを入力してから10分以上たっても購入が完了していない状態を「チェックアウト離脱」とし、Shopify Flow で待機時間を編集する形になっています。設定の場所と初期値はShopifyのカゴ落ち対策、ecforceのカゴ落ちメール機能でできることはecforceのカゴ落ちメール機能でまとめています。
1通目を早めに送るのは、離脱した直後ほど、何を買おうとしていたかを覚えているためです。一方、高単価の商品や、家族と相談して決めるような商材では、1通目を翌日にずらし、2通目以降の間隔も広げた方が自然です。
通数は「上限」と「止める条件」をセットで決める
「カゴ落ちメール うざい」という検索があるとおり、送りすぎは嫌われます。通数を決めるときは、次の3点をセットにします。
- 1人あたりの上限: 1回のカゴ落ちにつき3通まで、など。同じ人が何度もカゴ落ちする場合に、期間あたりの上限も決める
- 止める条件: 購入や申し込みを完了した人、配信停止を申し出た人には、以後送らない
- 他のメールとの重なり: メルマガやキャンペーンの配信と同じ日に重なりすぎないようにする
特に、購入を済ませた人に「お手続きが完了していません」と届くのは、問い合わせやクレームにつながる典型的な失敗です。注文の完了をどう検知して配信を止めるのか、カートや配信ツールの仕組みを必ず確認してください。
効果の目安:海外の集計ではクリック率は平均6%
カゴ落ちメールの効果を示す数字として、海外のメール配信サービス Klaviyo が、利用企業11万以上のデータを集計したレポートがあります。2026年版では、カゴ落ちメールの クリック率は平均6% で、受信者1人あたりの売上は平均6.77ドルでした。
※ Klaviyo「The abandoned cart benchmarks report: 2026 data」より(2026年10月8日確認)。海外(米国中心)の利用企業の集計で、日本のECにそのまま当てはまるとは限りません
100通送ってクリックされるのは6通程度、というのが海外の平均です。文面を工夫しても、大半の人は戻ってこない前提で、件名と本文は「戻りたい人が迷わず戻れる」ことを優先して作ります。
カゴ落ちメールの件名の書き方と例文

カゴ落ちメールは、開かれなければ本文が読まれません。件名は、受信箱の一覧で、どこから・何の件で届いたのかが一目で分かることを優先します。
件名を書くときの5つのポイント
- 店名を入れる: 【〇〇ショップ】のように前半に置くと、知らない差出人からの営業メールと間違われにくくなります
- 何の件かを具体的に書く: 「お知らせ」ではなく「カートに商品が残っています」「お手続きが途中で止まっています」と、用件を書きます
- 大事な言葉を前半に置く: スマートフォンの受信一覧では、件名の後半が切れて表示されることがあります
- 通数ごとに件名を変える: 3通とも同じ件名だと、2通目以降は「さっきと同じメール」と思われて開かれません
- 誤解させる件名にしない: 「ご注文ありがとうございます」「ご注文が確定しました」など、購入が完了したと受け取れる件名は使いません
通数別の件名の例文
| 通数 | 件名の例文 |
|---|---|
| 1通目(リマインド) | 【〇〇ショップ】カートに商品が残っています |
| 【〇〇ショップ】お手続きが途中で止まっています | |
| [お名前]様、〇〇(商品名)のお手続きはお済みですか | |
| 2通目(不安解消) | 【〇〇ショップ】送料・お支払い方法のご案内 |
| 【〇〇ショップ】ご購入前によくいただくご質問をまとめました | |
| 【〇〇ショップ】〇〇(商品名)の返品・交換について | |
| 3通目(期限・在庫) | 【〇〇ショップ】カートの商品の在庫が残りわずかです |
| 【〇〇ショップ】ご案内中の特典は〇月〇日までです | |
| 【〇〇ショップ】カートの保存期間についてのお知らせ |
※ [お名前]・〇〇の部分は、カートや配信ツールの差し込み機能で置き換えます。在庫や期限の件名は、実際にそうである場合にだけ使います
名前や商品名の差し込みは、空欄のまま送られると「様、」のような不自然な件名になります。差し込む値が空のときの表示を、テスト送信で確認しておきましょう。
カゴ落ちメールの例文:本文テンプレート
ここからは、3通それぞれの本文の例文です。どの通にも共通して、次の要素を入れています。
- 送った理由: 〇〇ショップでのお手続きが完了していないため、という一文
- 戻る道: カートや入力途中の画面に戻れるボタン・URL
- 相談の窓口: 問い合わせ先
- 送信者の情報と配信停止の方法: 店名・運営会社名、配信停止の手続き(表示が求められる事項は後述)
1通目:リマインド型の例文
1通目は、手続きが途中で止まっていることを知らせるだけにとどめます。割引や強い言葉は入れず、短く書きます。
件名:【〇〇ショップ】カートに商品が残っています
[お名前]様
〇〇ショップをご利用いただき、ありがとうございます。
ご購入のお手続きが完了していないため、ご案内をお送りしました。
カートには、次の商品が保存されています。
・〇〇(商品名) 数量:1 価格:〇,〇〇〇円(税込)
▼お手続きの続きはこちら
https://example.jp/cart
入力の途中で分かりにくい点がありましたら、
下記のお問い合わせ先までお気軽にご連絡ください。
すでにお手続きがお済みの場合は、
行き違いとなりますのでご容赦ください。
――――――――――――
〇〇ショップ(運営:株式会社〇〇)
お問い合わせ:https://example.jp/contact
配信停止:https://example.jp/unsubscribe
――――――――――――
ポイント: カートの商品を画像付きで表示できる場合は、商品名・数量・価格とあわせて載せます。「すでにお手続きがお済みの場合は〜」の一文は、配信を止める仕組みがあっても入れておくと、行き違いのときの印象が和らぎます。
2通目:不安解消型の例文(送料・返品・支払い方法)
2通目は、買わなかった理由になりやすい点を先回りして答えるメールです。送料や追加の費用、返品の可否、使える支払い方法、届く日など、問い合わせやレビューでよく聞かれる点を選んで載せます。
件名:【〇〇ショップ】送料・お支払い方法のご案内
[お名前]様
〇〇ショップです。
先日カートに入れていただいた〇〇(商品名)について、
ご購入前によくいただくご質問をまとめました。
■送料
全国一律〇〇〇円(税込)です。〇,〇〇〇円以上のご注文で送料無料になります。
■お届け日
ご注文から〇〜〇営業日で発送します。お届け日時の指定もできます。
■お支払い方法
クレジットカード、後払い、〇〇Payがご利用いただけます。
■返品・交換
商品到着後〇日以内で未開封のものに限り、返品を承ります。
詳しくは返品ポリシーをご覧ください。
https://example.jp/returns
▼カートの商品はこちら
https://example.jp/cart
ほかにも気になる点があれば、お問い合わせください。
――――――――――――
〇〇ショップ(運営:株式会社〇〇)
お問い合わせ:https://example.jp/contact
配信停止:https://example.jp/unsubscribe
――――――――――――
ポイント: 送料・返品・支払い方法などの条件は、サイトの表記や特定商取引法に基づく表記と一字一句合わせます。メールにだけ有利な条件が書かれていると、受け取った人とのトラブルの元になります。条件を変更したときにテンプレートの修正漏れが起きやすいので、メールの文面も更新対象の一覧に入れておきます。
買わずに離れる理由は、思ったより送料が高かった、返品できるか分からなかった、使いたい支払い方法がなかった、など店によってさまざまです。自社のサイトで何が引っかかっているかは、問い合わせの内容や、購入手続きのどの画面で離れているかから見当を付けます。購入手続きの入力そのものを減らす対策はEFOツールとフォーム離脱リカバリーの違いで整理しています。
3通目:期限・在庫の告知型の例文(クーポンを付けない場合)
3通目は、期限や在庫など、待つと変わる事実を伝えるメールです。クーポンを付けない場合は、カートの保存期間や、在庫の状況を伝えます。どちらも、事実でなければ書きません。
件名:【〇〇ショップ】カートの保存期間についてのお知らせ
[お名前]様
〇〇ショップです。
カートに保存されている〇〇(商品名)は、
〇月〇日を過ぎると保存が解除されます。
ご購入を検討中でしたら、お手数ですが期限までに
お手続きの続きをお願いいたします。
▼お手続きの続きはこちら
https://example.jp/cart
なお、〇〇(商品名)は現在、在庫が残り〇点です。
(〇月〇日〇時時点。在庫は変動します)
今回は見送られる場合も、ご案内はこのメールで最後になります。
またのご利用をお待ちしております。
――――――――――――
〇〇ショップ(運営:株式会社〇〇)
お問い合わせ:https://example.jp/contact
配信停止:https://example.jp/unsubscribe
――――――――――――
ポイント: 在庫の数を書くときは、いつ時点の数字かを添えます。カートの保存期間に期限がない場合は、期限の段落を削り、在庫や入荷予定など事実として伝えられる内容だけにします。「ご案内はこのメールで最後になります」と書くと、しつこさの印象を和らげられます。
3通目:クーポンを付ける場合の例文
クーポンを付けるなら、3通目に、条件と期限をはっきり書いて付けます。1通目から割引を出すと、カートに入れて離れれば割引が届く、と覚えられやすくなるためです。
件名:【〇〇ショップ】ご案内中の特典は〇月〇日までです
[お名前]様
〇〇ショップです。
カートに保存されている〇〇(商品名)について、
初めてご購入の方向けの特典をご案内します。
■特典の内容
ご注文金額から〇〇〇円引き(〇,〇〇〇円以上のご注文が対象)
■クーポンコード
XXXX-XXXX
■ご利用の条件
・〇月〇日〇時までのご注文が対象です
・初めてご購入の方、お一人さま1回限り
・他のクーポンとの併用はできません
▼クーポンを使ってお手続きする
https://example.jp/cart
――――――――――――
〇〇ショップ(運営:株式会社〇〇)
お問い合わせ:https://example.jp/contact
配信停止:https://example.jp/unsubscribe
――――――――――――
ポイント: 割引額、対象になる注文の条件、期限、併用の可否、対象者は、すべて本文に書きます。「今だけ」「本日限り」と書くなら、その期限を過ぎたら実際に特典を終えることが前提です。期限を過ぎても同じ特典を出し続けると、後述の景品表示法の観点で問題になるおそれがあります。
クーポンを付けるかどうかの判断
| 判断の材料 | 付けない方がよい場合 | 付けてもよい場合 |
|---|---|---|
| 利益率 | 割引すると利益がほとんど残らない | 初回の購入で割引しても、2回目以降の購入で回収できる |
| 離脱の理由 | 送料・返品・支払い方法の不安が中心(2通目で解消できる) | 価格そのものを比較されている |
| 既存の顧客への影響 | 通常の価格で買っている顧客が多く、不公平感が出やすい | 初回限定など、対象を絞った特典にできる |
| 運用 | 期限や対象者を管理する仕組みがない | クーポンの期限・回数を自動で制御できる |
迷う場合は、まずクーポンなしの3通で始め、配信した人のうち購入を完了した人の割合を見てから、3通目にだけクーポンを付けた場合と比べるのが確実です。
カゴ落ちメールでやってはいけないこと
例文を自社向けに書き換えるときに、避けたい書き方をまとめます。
| やってはいけないこと | 起きやすい問題 | 代わりにどうするか |
|---|---|---|
| 事実と違う在庫・期限を書く | 「残りわずか」「本日まで」が事実でないと、受け取った人を誤解させる | 在庫や期限は、実際の数と日時を「いつ時点か」とあわせて書く |
| 過度に煽る | 「今すぐ買わないと損」「最後のチャンス」を繰り返すと、店の印象が悪くなり配信停止が増える | 事実を淡々と伝え、判断は受け取った人に任せる |
| 購入が完了したように見せる | 「ご注文ありがとうございます」などの件名で開かせると、問い合わせや不信感につながる | 件名で用件をそのまま伝える |
| 毎回クーポンを付ける | カートに入れて離れれば割引が届く、と覚えられる | クーポンは3通目だけ、対象者と期限を絞る |
| 送りすぎる・購入済みの人に送る | 「うざい」と思われ、配信停止や迷惑メール報告が増える | 1人あたりの上限と、購入完了・配信停止で止める条件を決める |
| 送信者や配信停止の方法が分からない | 受け取った人が止める手段を探せず、迷惑メールとして報告されやすい | 店名・運営会社名、問い合わせ先、配信停止の方法を毎回入れる |
在庫・期限・価格の表示は、景品表示法の観点からも慎重に
商品の価格や取引の条件について、実際より著しく有利だと誤解させる表示は、景品表示法の「有利誤認」として禁止されています。どのような表示が問題になるかは、表示の内容や全体の印象によって個別に判断されるため、この記事では断定しません。在庫・期限・割引の表示は事実どおりに書き、根拠を残しておくのが基本です。判断に迷う場合は、消費者庁の「有利誤認とは」などの一次情報を確認し、専門家に相談してください。
また、迷惑メールとして報告される割合が高いと、メールが届きにくくなります。Gmailの送信者のガイドラインでは、すべての送信者に送信元ドメインのSPFまたはDKIMの設定を求めています。1日に5,000件を超えて送る場合は、マーケティング目的のメールをワンクリックで登録解除できるようにすることも求められています。
カゴ落ちメールを送る前に確認したい配信の前提
文面を作る前に、そもそも誰に、どのような扱いで送れるのかを確認しておきます。ここでは法令の解釈を断定せず、確認すべき一次情報を案内します。
広告・宣伝のメールには、同意と表示のルールがある
総務省と消費者庁は、広告・宣伝のためのメールについて、次のように案内しています。
- 特定電子メール法: 原則として、あらかじめ同意した人に対してのみ広告宣伝メールの送信が認められる「オプトイン方式」です。送信者の氏名または名称、受信拒否の通知ができる旨と通知先などの表示も義務づけられています
- 特定商取引法: 通信販売の電子メール広告は、消費者があらかじめ承諾しない限り、原則として送信が禁止されています。一方で、契約の成立、注文確認、発送通知などに付随した広告は、規制の対象外とされています
※ 総務省・消費者庁「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント」、消費者庁「特定商取引法ガイド」の記載より(2026年10月8日確認)
総務省・消費者庁の「特定電子メールの送信等に関するガイドライン」では、取引上の条件を案内する事務連絡や料金請求のお知らせなど、取引関係にかかわる通知で、広告や宣伝の内容を含まず、広告や宣伝のウェブサイトへの誘導もしないメールは、特定電子メールに当たらない場合がある、という考え方が示されています。
カゴ落ちメールがどちらにあたるかは、文面と送り方で変わりうる
カゴ落ちメールは、購入手続きの途中で離れた人への連絡です。単なる手続きの案内なのか、商品をすすめる広告・宣伝なのかは、文面にクーポンやおすすめ商品を入れるか、どのような経緯でメールアドレスを受け取ったかなどによって扱いが変わりうるため、一律には言えません。実務では、次の点を導入前に決めておくと安心です。
- メールアドレスを受け取る画面で、何を伝えるか: 購入手続きの途中で離れた場合に連絡が届くことや、メールマガジンの購読の有無を、入力欄の近くで分かるようにするか
- どの通にどこまで書くか: 1通目・2通目は手続きの案内に絞り、クーポンやおすすめ商品は購読に同意した人向けの3通目だけにする、など
- 表示と配信停止: 送信者の名称、問い合わせ先、配信停止の方法を毎回入れ、停止した人には以後送らない
あわせて、入力されたメールアドレスを何に使うかを、プライバシーポリシーなどで分かるようにしておくと安心です。判断に迷う場合は、総務省の「迷惑メール対策」のページや「特定電子メールの送信等に関するガイドライン」を確認したうえで、専門家に相談してください。
SMSで送る場合の短文例

カゴ落ちの連絡は、電話番号を入力した人にはSMSでも送れます。SMSは件名がなく、通知に本文がそのまま表示される一方、全角70文字までが1通分です。auの案内では、全角71〜134文字は2通分になり、以降は全角67文字ごとに1通分ずつ増えます。メールの例文をそのまま縮めるのではなく、要件とURLだけを伝えます。
【〇〇ショップ】お申し込みがまだ完了していません。続きはこちらから https://example.jp/r/a1b2
【〇〇ショップ】送料・お支払い方法のご案内はこちらでご確認いただけます https://example.jp/r/a1b2
【〇〇ショップ】カートの保存は〇月〇日までです。お手続きはこちら https://example.jp/r/a1b2
いずれも、URLの英数字を1文字ずつ数えて60文字前後です。ここに配信停止の案内を加えると、70文字を超えて2通分になりやすくなります。配信停止の案内まで含めた文字数で費用を見積もると、想定との差が出にくくなります。
SMSで送るときに気をつけたいのは、次の3点です。
- URLは自社ドメインのものを使う: 配信サービス各社は、短縮URLは受信側のフィルターで迷惑メッセージと判定されやすいと注意を促しています
- 店名を必ず入れる: 件名がないため、冒頭に【〇〇ショップ】のように入れないと、誰からのメッセージか分かりません
- 同意の扱いはメールと同じく確認する: 総務省は、SMSも特定電子メール法に規定する電子メールの通信方式の一つとしており、広告・宣伝を送る場合は原則として同法の規制対象としています
SMSとメールのどちらを主に使うか、1通の費用や届かない原因の違いはカゴ落ちメールとSMSの違いで詳しく比べています。
カートのカゴ落ちメールが届かない人に送るなら
カートの標準のカゴ落ちメールは、購入手続き画面でメールアドレスを入力した人が中心です。LP一体型フォームの単品通販や、申し込み・資料請求フォームのように、カートのカゴ落ちメールが届かない離脱を拾いたい場合は、フォーム離脱リカバリーツールが選択肢になります。LP一体型フォームで残る離脱の種類はLP一体型フォームの離脱対策、ツールを選ぶときの確認ポイントはフォーム離脱リカバリーツールの選び方で解説しています。
国産ツールでは、たとえば OKAERI が、フォームの途中で離脱した人に SMS とメールで再訪を促す仕組みを提供しています。送信前の入力内容を読み取るタグ型で、成果報酬型ではなく定額+配信数に応じた従量課金のため、呼び戻しの件数が増えても手数料が売上に比例して膨らみません。初期費用は0円で、無料プランがあり、有料プランは月額9,800円(税別)からです。
一方で、LINE での配信には対応しておらず、カートのAPI・Webhookとの連携は月額49,800円(税別)以上のプランに限られます。月額9,800円のプランでは1人に送れるのは3通までです。この記事の3通構成をSMSとメールでどう分けるか、購入の完了をどう検知するかを決めてから、必要なプランを確認してください。
よくある質問
カゴ落ちメールとは何ですか?
ECサイトでカートに商品を入れた、または購入手続きの途中まで進んだのに、購入を完了せずに離れた人へ送るメールです。「カート放棄メール」とも呼ばれます。注文確認メールと違い、相手はまだ何も買っていないため、送った理由と戻る道、問い合わせ先を分かりやすく書くことが大切です。
カゴ落ちメールの件名はどう書けばよいですか?
店名と用件を前半に置き、「どこから」「何の件で」届いたのかが一目で分かるようにします。たとえば「【〇〇ショップ】カートに商品が残っています」のような形です。通数ごとに件名を変え、「ご注文ありがとうございます」など購入が完了したと受け取れる件名や、事実でない在庫・期限の表現は使いません。
カゴ落ちメールは何通、いつ送ればよいですか?
この記事では、離脱から1〜数時間後のリマインド、翌日の不安解消、2〜3日後の期限・在庫の告知、という3通構成を基本の型として紹介しています。商材の検討期間やカートで設定できる範囲に合わせて調整し、1人あたりの上限と、購入を完了した人・配信停止した人に送らない条件をセットで決めてください。
カゴ落ちメールにクーポンは付けた方がよいですか?
最初の1通から付けるのはおすすめしません。カートに入れて離れれば割引が届く、と覚えられやすくなるためです。付けるなら3通目に、割引額・対象の条件・期限・併用の可否を明記して付けます。利益率や離脱の理由によっては、クーポンなしで送料や返品の不安を解消する方が合う場合もあります。
カゴ落ちメールを送るのに同意は必要ですか?
送る内容と送り方によります。特定電子メール法と特定商取引法は、広告・宣伝のメールについて原則として事前の同意や承諾を求めており、カゴ落ちメールがどちらにあたるかは、文面にクーポンやおすすめ商品を入れるかなどで扱いが変わりえます。総務省・消費者庁の一次情報を確認し、判断に迷う場合は専門家に相談してください。
まとめ
カゴ落ちメールの例文は、3通で役割を分けて書くと迷いません。1通目は手続きが止まっていることを知らせるリマインド、2通目は送料・返品・支払い方法の不安を解消する案内、3通目は期限や在庫を事実どおりに伝える告知です。件名には店名と用件を前半に置き、通数ごとに変えます。
クーポンは3通目に条件と期限を明記して付け、在庫や期限の表示は事実と根拠に基づいて書いてください。送る前に、購入を完了した人に届かない仕組みと1人あたりの上限、配信の同意と表示の扱いを確認しておくことが、「うざい」と思われないカゴ落ちメールの前提です。SMSで送る場合は70文字に収まる短文で要件とURLだけを伝えます。
カゴ落ちメールを含めた、フォーム離脱の対策の全体像はフォーム離脱の対策まとめで、防ぐ・引き止める・呼び戻すの3段階に分けて整理しています。


