単品通販のLPをLP一体型フォームにすると、カゴ落ちが減ってCVRが上がる。カートシステムの公式サイトでも、比較記事でも、そう説明されています。実際、ページの移動を減らす効果はあります。
ただ、LP一体型フォームにして減るのは「ページを移動するときの離脱」だけで、入力の途中でやめる離脱はそのまま残ります。しかも残った離脱のほうが、呼び戻しにくい性質を持っています。初めての購入者が中心で会員情報がなく、カートの標準機能のカゴ落ちメールでは届かない相手だからです。
この記事では、LP一体型フォームにしても残る離脱を切り分け、カートごとに何ができるかを公式の記載で確認します。 LP一体型フォームは1ページ完結とは限らないという実装の違い、離脱が起きる位置、ecforce・スマレジEC・リピート・リピストX・EストアーLPカートで離脱した人に何が届くか、電話番号とメールアドレスをフォームのどこに置くかまで整理しました。化粧品や健康食品の単品通販でLPを運用しているマーケ担当の方を想定しています。
結論サマリー
- LP一体型フォームで減るのは、ページ移動にともなう離脱だけ: 商品ページからカート、会員登録、入力と進むあいだの離脱は減りますが、フォームの入力そのものをやめる離脱は残ります
- 「LP一体型フォーム」の実装は1種類ではない: 入力から完了まで本当に1ページで終わるものと、入力確認画面をはさむものがあります。EストアーLPカートは公式マニュアルで「フォーム一体型のLP→入力確認→注文完了」の3ページと案内しています
- 残る離脱は呼び戻しにくい: 初回購入が中心で会員情報がなく、購入手続き画面まで進むという段階も踏まないため、カートの標準機能のカゴ落ちメールの対象から外れる人が出ます
- 離脱後の呼び戻しを標準機能で持つカートは少ない: 公式サイトとヘルプで確認した範囲では、LP一体型フォーム自体は標準機能でも、入力途中で離脱した人への配信はオプションか外部ツールとの連携でした
- 呼び戻せるかどうかは、フォームの項目順で決まる: 送信前に入力された内容しか使えないため、電話番号やメールアドレスが後半にあると、離脱した人の大半は連絡先が残りません
- 順番は「減らす」が先、「呼び戻す」は後: 入力項目の削減とEFOで離脱そのものを減らしてから、それでも残る離脱に呼び戻しを重ねる順番が、費用の面でも確実です
「LP一体型フォーム」は1ページ完結とは限らない
LP一体型フォーム(フォーム一体型LP)は、商品を説明するLPと申し込みフォームを同じページに置く作り方です。単品通販の定期購入やお試し商品で広く使われています。
ただ、呼び方は同じでも、カートによって画面の数が違います。
| 実装のしかた | 画面の流れ | 離脱が起きる位置 |
|---|---|---|
| 完全に1ページで完結 | LP+フォーム → 完了 | フォームの入力途中 |
| 入力確認画面をはさむ | LP+フォーム → 入力確認 → 完了 | フォームの入力途中/確認画面 |
| 確認・完了画面で追加提案を出す | LP+フォーム → 入力確認 → 完了(アップセルあり) | 上記に加えて、追加提案の画面 |
EストアーLPカートは、公式マニュアルで「フォーム一体型のLP→入力確認→注文完了」という3ページの購入フローだと案内しています(2026年9月18日確認)。一方で、入力から完了までを1ページで終える実装もあります。
この違いは、離脱対策の打ち手を変えます。 入力確認画面があるなら、確認画面まで進んだ人への呼び戻しという段階が存在します。1ページで完結する実装では、その段階自体がありません。自社のLPがどちらなのか、画面の数を先に確認してください。
LP一体型フォームで減る離脱・残る離脱
LP一体型フォームの効果は、ページの移動を減らすところにあります。逆にいえば、ページの移動と関係ない離脱には効きません。
減る離脱
- 商品ページからカートへ移動するときの離脱
- 会員登録を求められて離れる離脱(会員登録なしで申し込める実装の場合)
- ページの読み込みを待てずに離れる離脱
残る離脱
- 入力項目が多い、または入力しにくくて途中でやめる
- 決済手段や送料、定期縛りの条件を見て考え直す
- 入力の途中で電話や来客など、別の用事が入って離れる
- 価格や他社との比較のために、いったんページを離れる
最後の2つは、フォームをどれだけ改善しても消えません。買う気がなくなったわけではなく、その場で終えられなかっただけの離脱が一定量残ります。ここが呼び戻しの対象です。
フォーム離脱の全体像と、対策を3段階に分けた整理はフォーム離脱の対策マップにまとめています。この記事は、そのうちLP一体型フォームに固有の部分を扱います。
カート別:LP一体型フォームの離脱に何が届くか
LP一体型フォーム自体は、単品通販向けのカートでは標準機能として用意されていることが多い機能です。一方で、入力途中で離脱した人に連絡する手段は、標準機能に含まれていないことがあります。
各社の公式サイト・ヘルプ・プレスリリースの記載を確認しました。
| カート | LP一体型フォームの提供 | 入力途中で離脱した人への配信 |
|---|---|---|
| ecforce | 提供あり | オプション「カゴ落ちメール機能」の入力画面離脱設定でSMSを配信。Twilioとの連携設定と、SMS会員認証機能のオプションが別途必要 |
| スマレジEC・リピート (旧:楽楽リピート) | 「完全標準機能」「枚数無制限」と記載。EFO機能も標準搭載で追加料金なし | LP一体型フォームの機能ページには、カゴ落ちメール・SMS・リマインドの記載を確認できず |
| リピストX | 提供あり | 2024年1月にカゴ落ち対策ツール「DROP」との連携を開始。フォームの入力途中で離脱したユーザーへ、メール・SMSでリマインド通知を配信できると発表 |
| EストアーLPカート | 「フォーム一体型のLP→入力確認→注文完了」の3ページ構成と案内 | マニュアルに、カゴ落ちメール・SMS・リマインドの記載を確認できず |
※各社の公式サイト・ヘルプセンター・プレスリリースの記載を2026年9月18日に確認したものです。「記載を確認できず」は、機能が存在しないという意味ではありません。オプションや別ページで提供されている可能性があるため、導入前に各社へ直接ご確認ください。料金・仕様は変更されることがあります。
この表から読み取れるのは、LP一体型フォームを備えているかどうかと、その離脱を呼び戻せるかどうかは別の話だということです。LP一体型フォームは「離脱を減らす機能」として提供されていて、減らしきれなかった離脱を拾う部分は、オプションか外部ツールとの連携に分かれています。
ecforceの入力画面離脱設定で届く相手は限られる
カート標準の範囲で入力途中の離脱に配信できる例として、ecforceのカゴ落ちメール機能があります。ただし、対象はサポートサイトの記載で明確に限定されています。
- 届くのはSMSで、メールは原則として送られません
- 対象は、LPフォームで電話番号を入力した後に離れた、ログインしていない人です
- 広告URLごとに有効化する設定が必要です
- 送信先は070・080・090で始まる11桁の携帯電話番号で、050や10桁の番号は対象外です
つまり、電話番号を入力する前に離れた人には、何も届きません。機能の詳細と、必要な設定・費用・同意の注意点はecforceのカゴ落ちメール機能でできること・できないことで整理しています。
呼び戻せるかどうかは、フォームの項目順で決まる
LP一体型フォームの呼び戻しには、カートの機能を入れても解けない前提があります。送信ボタンが押されていない以上、使えるのは「離脱するまでに入力された内容」だけという前提です。
連絡先が入力される前に離れた人には、どのツールを使っても連絡できません。そのため、フォームのどこに電話番号とメールアドレスを置くかが、呼び戻せる人数をそのまま決めます。
| 連絡先の位置 | 呼び戻せる範囲 | 起きること |
|---|---|---|
| 氏名・住所より前 | 入力を始めた人のほとんど | 個人情報を先に求める形になり、入力開始のハードルは上がりやすい |
| 氏名の直後 | 住所・決済の入力で離れた人 | 離脱が多い後半の項目をカバーでき、バランスを取りやすい |
| 決済情報の直前・直後 | 最後まで進んだ人のみ | 入力の前半で離れた人は連絡先が残らず、対象から外れる |
実務では、氏名の直後に電話番号とメールアドレスを置く形がよく使われます。住所や決済情報の入力は項目が多く、離脱が集中する位置だからです。
あわせて確認したいのが、次の2点です。
- 入力された時点で送信されているか: フォームの内容を離脱時点で取得する仕組みが必要です。送信ボタンを押した時だけデータが渡るカートでは、入力途中の内容は残りません
- 同意をどこで取るか: 利用規約への同意の前に離れた人にも連絡が届く設計になっていないか。ecforceも、同意前の人にSMSが届く点について、採用の可否を各社で判断するよう案内しています
SMSとメール、LP一体型フォームではどちらを使うか
LP一体型フォームの単品通販では、電話番号を必須にしているフォームが多く、SMSを軸にするのが基本です。会員情報がないため、メールアドレスが入力されていなければメールは送れません。
ただしSMSには費用と文字数の制約があります。1通あたりの単価がかかり、70文字を超えると2通分として課金される仕組みが一般的です。配信停止の案内とURLを入れると、70文字はすぐに埋まります。
- 電話番号だけが入力されている人 → SMS
- 電話番号とメールアドレスの両方が入力されている人 → SMSで短く知らせ、詳細をメールで補う
- メールアドレスだけが入力されている人 → メール
費用の比較、開封率の数字の読み方、届かない原因の切り分けはカゴ落ちメールとSMSの違い・使い分けにまとめています。
LP一体型フォームの離脱対策を組む順番
呼び戻しから入れたくなりますが、費用の面では逆です。呼び戻しは1件ごとに配信費用がかかる対策で、離脱そのものを減らす対策は一度直せば効き続けます。
- 入力項目を削る: LP一体型フォームは、申し込みに不要な項目が残っていることがよくあります。アンケートや任意項目を外すだけで離脱は動きます。費用はかかりません
- 連絡先の位置を前に出す: 氏名の直後に電話番号とメールアドレスを置きます。これも費用はかからず、呼び戻せる人数を増やす効果もあります
- 入力の負担を減らす: 郵便番号からの住所補完、入力形式のエラー表示、全角・半角の自動変換など。EFOツールの範囲です
- それでも残る離脱を呼び戻す: 1〜3をやったうえで残る離脱に、SMS・メールの配信を重ねます
3のEFOツールの選び方はEFOツールのおすすめ、4のリカバリーツールを選ぶ基準はフォーム離脱リカバリーツールの選び方にまとめています。
なお、LP一体型フォームで離脱防止ポップアップを使う場合は注意が要ります。フォームの入力中に画面を覆うポップアップが出ると、入力の妨げになります。出すなら、ページを離れようとした動きを検知したときだけに絞ってください。
よくある質問(FAQ)
LP一体型フォームにすれば、カゴ落ち対策は不要になりますか?
不要にはなりません。LP一体型フォームで減るのは、ページを移動するときの離脱です。フォームの入力を途中でやめる離脱、条件を見て考え直す離脱、別の用事で中断する離脱は残ります。むしろLP一体型フォームは初回購入者が中心で会員情報がないため、カートの標準機能のカゴ落ちメールでは届かない相手が増えます。
LP一体型フォームの入力途中で離れた人に、メールは送れますか?
メールアドレスが入力済みであれば送れますが、カートの標準機能では対象外のことがあります。ecforceの場合、入力画面離脱設定で届くのはSMSで、メールは原則として送られません。メールで送りたい場合は、メールアドレスの入力位置を前に出したうえで、入力途中の内容を扱えるツールが必要です。
LP一体型フォームに対応したカートなら、離脱した人への配信も標準で使えますか?
必ずしも使えません。公式サイト・ヘルプで確認した範囲では、LP一体型フォーム自体は標準機能でも、入力途中で離脱した人への配信はオプション(ecforce)か、外部ツールとの連携(リピストX)という形でした。カートを選ぶときは、LP一体型フォームの有無とは別に、離脱後の配信について確認してください。
電話番号をフォームの前半に置くと、入力開始が減りませんか?
減る可能性はあります。個人情報を先に求める形になるためです。実務では氏名の直後に置く形がよく使われます。氏名だけなら心理的な負担が小さく、離脱が集中する住所・決済の入力より前に連絡先を確保できるためです。入力開始率と完了率の両方を計測して、位置を決めてください。
単品通販のLPで、離脱率はどのくらいが普通ですか?
フォームの項目数や商材で大きく変わるため、他社の平均値と比べる意味は限られます。自社の数字を、どの項目で離れているかまで分解して見るほうが打ち手につながります。フォームを表示した人のうち入力を始めた割合と、入力を始めた人のうち完了した割合は、分けて計測してください。前者が低いならフォームの見せ方、後者が低いなら入力項目の問題です。
まとめ
LP一体型フォームは、ページの移動にともなう離脱を減らす作り方です。減らせるのはそこまでで、入力の途中でやめる離脱は残ります。そして残った離脱のほうが、会員情報がなく購入手続き画面も踏まないぶん、カートの標準機能では拾いにくい相手です。
進め方は、まず自社のLPが何ページ構成なのかを確認し、入力項目を削って連絡先を前半に移すところからです。そのうえで、使っているカートで入力途中の離脱に何が届くのかを、公式の案内で確かめてください。オプションの申し込みや外部ツールとの連携が必要なことがあります。
呼び戻しを入れるのは、そこまでやって残る離脱に対してです。送信前の入力内容しか使えない以上、連絡先が入力されていない人は呼び戻せません。ツールを比べる前に、フォームの項目順を先に決めるのが確実です。


